令和6年度 診療報酬改定におけるベースアップ評価料のポイント解説 元厚生局職員が解説

こんにちは
今回は、令和6年度の診療報酬改定に伴い、医療機関における重要な要素となる「ベースアップ評価料」について、今回は丁寧に解説していきます。
この評価料は、医療従事者の待遇向上を目的として設けられたものであり、労働環境の改善や医療従事者のやる気を引き出すために活用されています。
特にこの改定のポイントは、どのようにこの評価料を届け出し、運用するかによって、クリニックの運営にも影響が出るため、注意深く対応する必要があります。

令和6年度 診療報酬改定 ベースアップ評価料のポイント解説

ベースアップ評価料の概要

まず、ベースアップ評価料とは、基本給のベースアップやそれに準じた手当てを通じて、医療従事者の待遇を向上させるための報酬評価制度です。
多くの医療機関では、この制度をうまく活用し、職員のモチベーション向上や離職防止に役立てています。
しかし、制度の内容や届け出の手間などから、実際に運用に踏み切るクリニックはまだ一部に留まっているのが現状です。

届け出に関する現状

本動画でも触れられているように、大阪府の歯科クリニックでは、歯科医師会の進言もあり、多くの先生がベースアップ評価料の届け出を済ませているようです。
一方で、医科クリニックでは、任意で判断されているケースが多く、実際の届け出率は約2割程度に留まっているとのことです。

この背景には、届け出に関しての手間や、制度そのものがいつまで続くのか不明である点が影響していると考えられます。
特に、基本給を引き上げることは、一度上げたものを後に下げるのが難しいため、慎重な対応が求められるのです。

手当てでの対応が可能

多くのクリニックでは、「ベースアップ」と聞くと、基本給の引き上げを連想されることが多いですが、実際には「手当て」としての対応も可能です。
手当てとして支給することで、将来的な基本給の引き下げリスクを避けることができ、より柔軟な対応ができる点が利点と言えるでしょう。

手当てによる対応を選択することで、ベースアップによる負担感が軽減され、クリニックの経営に与える影響も抑えることが可能です。
ただし、この制度がいつまで続くかは未定であり、今後の動向を注視する必要があることは確かです。

制度の今後とクリニックの対応

現時点では、ベースアップ評価料を導入することで、クリニック間での待遇差が顕著に表れることはないとされています。
しかし、今後この制度の運用が進むにつれて、クリニックの評価や医療従事者の離職率に影響を与える可能性があります。

「めんどくさい」という声があるのも事実です。手続きに時間がかかり、労力もかかるため、多くのクリニックが届け出を避けている現状です。
しかし、これをどのように捉えるかが、今後のクリニック運営において重要な分岐点となるでしょう。

手続きの手間と外部委託の是非

手続き自体が非常に複雑で、誰がその業務を担当するのかという点もクリニックにとって大きな課題となります。
さらに、外部に依頼する場合は、その手当分が経費で減少してしまう可能性もあります。
つまり、手当を支給しても、その分がコストとして消えてしまうリスクがあるため、慎重な判断が必要です。

最後に

今回の診療報酬改定におけるベースアップ評価料は、クリニックの運営にとって大きなチャンスである一方、リスクも含んでいます。
クリニックごとの状況に応じて、基本給アップや手当てによる対応を検討することが、今後の経営において重要な鍵となります。

特に、この制度がいつまで続くかは未定であり、将来的な対応を見据えた準備が必要です。クリニックの経営者として、現時点での対応をしっかり考え、医療従事者のやる気を引き出すような仕組みづくりをしていくことをお勧めします。

また、制度の詳細については厚生労働省の特設ページで確認することができます。
届け出や運用に関して不明な点があれば、こちらも参考にしていただければと思います。

(厚生労働省のホームページ右上の検索窓に「ベースアップ評価料等について」を入力して検索すると、特設ページが表示されます。)

こちらの特設ページもご覧ください。
ベースアップ評価料等について – 厚生労働省特設ページ

結び

ベースアップ評価料の導入は、医療従事者の労働環境改善に繋がる重要なステップです。
クリニックの状況に応じて最適な対応を検討し、経営の安定と職員の満足度向上に努めていくことが、これからの医療機関運営の鍵となるでしょう。