新規個別指導に備える!カルテ記載のポイント 元厚生局職員が解説

こんにちは
元厚生局職員の鈴木です。(メディカルオネスト 代表)
クリニックを運営する院長先生や事務長の皆様へ、新規個別指導に備えてしっかりと対応できるよう、今回はカルテ記載のポイントに焦点を当ててお話しします。
特に、初診料や外来管理加算に関連するカルテの記載は、新規個別指導で頻繁に指摘される項目です。
指摘や返還リスクを防ぎ、スムーズな指導通過を目指しましょう。

  1. 初診時に求められるカルテ記載事項

新規個別指導において、特に問題視されることが多いのが、初診時のカルテ記載です。関東信越厚生局の個別指導の際、初診料の返還を求められたケースとして「既往歴」「アレルギー歴」「家族歴」の記載がないことが挙げられます。
これらの情報は、患者の全体的な健康状態を把握するために重要な要素です。
初診時には必ず確認し、カルテに記載するようにしましょう。

また、療養担当規則には、「診察を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない」と明記されています。
これは初診時だけでなく、再診時にも確認すべき事項です。患者の服薬歴や薬剤アレルギーは、診療において重要な影響を及ぼす可能性があるため、カルテにしっかりと記載し、適切に管理することが大切です。

  1. 外来管理加算の返還リスクを避けるために

新規個別指導でしばしば返還対象となるのが、外来管理加算です。この加算は、患者との対話や管理に関する報酬ですが、カルテに適切に記載されていない場合、返還が求められる可能性があります。
カルテにおいて、患者の状態を的確に反映し、その管理プロセスが明確であることが求められます。

ここで重要なのが、SOAP形式でのカルテ記載です。SOAPとは以下の4つの要素を指します。

  • S(Subjective): 患者が主観的に訴える症状や問題
  • O(Objective): 診察による客観的な所見
  • A(Assessment): 診断
  • P(Plan): 治療計画や処方

特に「S(主訴)」の部分では、患者の言葉をそのまま記録することが推奨されます。
例えば、患者が「お腹が痛い」と言った場合、これを「n.p(異常なし)」や「著変なし」といった医療用語に置き換えるのではなく、患者の口語体で記録することが、適切な診療の証拠となり、好印象を与えます。

  1. 不適切なカルテ記載を避けるための具体例

カルテ記載において避けるべき具体例として、次のようなものがあります。

  • 「n.p」との記載: 患者の状態を「n.p(異常なし)」と記載するのは、診療が適切に行われていない印象を与える可能性があります。
    特に多くの患者にこの記載を繰り返している場合、算定要件を満たしていないと判断され、返還を求められるリスクが高まります。
  • 「処方do」や「RP.do」: 診療計画(P)においても、簡潔に「処方do」や「RP.do」と記載するだけでは不十分です。
    「〇〇のため、処方do」といった理由を明記することで、適切な診療が行われた証拠となります。

これらの不適切な記載は、新規個別指導でしばしば問題視され、返還対象となることが多いため、十分な注意が必要です。
適切な理由を明記し、診療の経過をきちんと記録することで、指摘を回避することができます。

  1. 診療の流れを正確に記載することの重要性

新規個別指導に備えるためには、カルテに診療の流れを正確に記載することが欠かせません。
特に、多くの患者に同じような処方や診療計画を繰り返している場合、指導者に「システム的に診療が行われている」と誤解される可能性があります。
これにより、算定要件を満たしていないと判断され、返還を求められるリスクが高まります。

そのため、患者ごとに個別の診療計画や治療方針をしっかりと記録し、カルテに反映させることが重要です。
単に「処方do」ではなく、その処方がなぜ必要なのかを記載することが、指導通過のポイントとなります。

  1. 特掲診療料におけるカルテ記載の重要性

今回のブログでは、主に基本診療料(初・再診料や外来管理加算)についてお話ししましたが、特掲診療料(医学管理、在宅医療、検査、処置、投薬、注射など)においても、カルテ記載は非常に重要な役割を果たします。
特掲診療料では、これらの診療行為が正確に行われたことをカルテに明示し、その内容が算定要件を満たしているかが厳しくチェックされます。

例えば、在宅医療においては、患者の状態など、詳細な情報をカルテに記載することで、適正な診療報酬請求が認められることとなります。
特掲診療料における記載のポイントについては、今後のブログでさらに詳しくお話ししていきます。

  1. 最後に

新規個別指導において、カルテの記載は非常に重要な要素であり、適切な記載が行われていないと返還や指摘を受ける可能性があります。
特に、初診時の「既往歴」「アレルギー歴」「家族歴」などの記載や、外来管理加算におけるSOAP形式での詳細な記載が求められます。

これから新規個別指導を控えているクリニックの皆様、カルテ記載に不安がある場合や、具体的なアドバイスが必要な場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
私は元厚生局職員として、多くのクリニックの個別指導をサポートしてきた実績があります。
適切なカルテ記載を通じて、クリニックの運営がスムーズに進むよう全力でサポートいたします。

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