個別指導と監査はどう違いますか?

個別指導と監査は、医療機関に対する行政的な手続きとして実施されますが、それぞれの目的や実施の背景が異なります。
多くのクリニックの院長や事務長にとって、この二つが混同されがちですが、理解しておくことが重要です。
ここでは、その違いを簡潔に説明します。

  1. 個別指導とは?

個別指導は、主に医療機関が適切な保険診療を行っているかどうかを確認し、保険診療の取扱い、診療報酬の請求等に関する事項について周知徹底させるための行政指導です。
個別指導は指導大綱に基づいて行われ、保険医療機関や保険医に対して行われます。

具体的には、診療報酬の請求方法やカルテの記載内容などを確認し、適正な診療が行われているかを評価します。
主な目的は、医療機関が制度を正しく理解し、遵守するように指導やアドバイスを行うことです。
多くの場合、経過観察再指導の評価が行われ、クリニックの保険診療等における改善点が明示されます。

  1. 監査とは?

一方、監査は、医療機関が意図的に不正行為を行っている疑いがある場合に実施される、より厳格な調査です。
例えば、診療報酬の不正請求やカルテの虚偽記載などの重大な法令違反が疑われた場合、監査が実施されることになります。

監査の目的は、不正行為の確認および措置であり、違反が確認された場合には厳しい処分が下されることがあります。
処分には、診療報酬の返還請求保険医療機関の指定取消、さらには刑事告発が含まれることもあります。

  1. 個別指導と監査の主な違い
  • 目的:個別指導は医療機関へのアドバイスや指導が目的ですが、監査は不正行為の確認と措置が主な目的です。
  • 頻度:個別指導はルール化された選定条件により選定された場合に行われますが、監査は不正の疑いが強い場合にのみ実施されます。
  • 対応:個別指導ではクリニックが改善のための指導を受けることが多いのに対し、監査では不正が確認された場合、厳しい措置が課されることがあります。

結論として、個別指導はクリニックの運営を改善するための手助けとなりますが、監査は重大な違反を確認し、厳しい措置を取るための手段です。
この違いを理解し、日常の診療を適正に行うことが重要です。